今回は極限までシンプルにシャープなウッドデッキを演出してみました。
テラス屋根の下に組まれたウッドデッキ。ホームセンターの既製品をDIYで組み立てられたと伺いました。
今回のリフォームはデッキが傷んできたのがきっかけ。
デザインのご要望は特に無く、ある程度サイズの指定と「安く長持ちするものを」というご要望を頂いていました。
拝見させて頂いた様子からすると、ウッドデッキはしっかり使い込まれている様子。
そこで、月と雨建築舎として今回の計画は
「デザイン、構造は極限までシンプルに。素材も耐久性を出すお手入れ計画の中で一番ローコストの素材選び」を軸にしました。
今回創らせて頂いたものがこちらです。
解体から造作まで大工さん1日の作業です。
「極限までシンプルにシャープなウッドデッキ」
エッジを残して塗装により浮き上がった木目よりもラインを浮き上がらせるバランスに。
角を出しても生活者には角が刺さることなく踏み心地で柔らかさを演出できる樹種(杉)にしました。
思いっきり使い込んで、ここから角が取れて経年美化していく質感も楽しんで頂きたいと思います。
「素材」
「床板」は杉の無垢板に広島の塗料メーカー「アールジェイ」さんの「いろは」を拭きとり塗装しています。
「大引き」は杉の105㎜(3寸5分)の角材に防腐剤を施工しました。(塗料を使い分けたのは腐りやすい部位を長持ちさせるように耐久性の理由からです。)
束は一番劣化して腐敗しやすいので「無塗装で腐りにくい樹種」にしています。この部位だけ高級な素材を用いましたが、将来的なコスト(ランニングコスト)を考えると手間が少なく長持ちさせることができると思います。(ただ予算を安く抑えればいいという問題ではなく、長期的視野での「安さ」を優先させて頂くようにご提案させて頂いています。)
「無垢材の個性」
杉は塗装すると綺麗な木目が浮き上がる素材です。「無垢」なので節・割れは個性としてついてきます。これが無いモノを指定すればコストが跳ね上がります。しかし、節・割れは大切な個性だと月と雨建築舎では考えています。造作するにしても、メインのデッキ作業に入る前に上の写真のように出来るだけ綺麗な表情の子を選抜してその個性のバランスを見ながら配置させて頂きました。
「デザインのポイント」
デザインといっても今回は無駄なデザインをしないことを意識しています。バランスを重視して和風になりがちな杉の木目を、それ以上にデッキのフラット感、木目の曲線以上にラインを浮き上がらせ木目をシンプルな構成要素の一つにしてしまい、柔らかさの演出にしてしまいたいと思いました。構成する素材の「エッジ」を効かせることにより「直線のラインとデッキのスクエア(四角)のライン」を浮き上がらせたいと思考しています。このバランスのポイントとなったのでが「板と板の間の隙間(クリアランス)」です。
最後に
上の写真の中で建物の壁にコンセントがあるのですが見えますでしょうか?このコンセントの高さがデッキの床に近かった為に一か所だけ細工をしています。コンセントを使いたい時、その下の床の一部を指で取り外してしっかり使えるように工夫を施しました。これも「今ある状態で使いやすく。」お金を無駄にかけない工夫とアイデアです。でも、これが、この家の個性にもあると思って一つ一つのお家で大切にしたい考えです。