2階はほとんど解体していない。畳を無垢のフローリングに、カラーフロアーを無垢のフローリングにした程度。
それでも、この姿を見た人は「新築みたい」と口をそろえる。創り手の想いとしては「新築みたい」という言葉は少し複雑(笑)。「性能は上げても、新築同然の真新しい空間にする予定ではなかった」から。
今あるものを活かし、新築ではできない風合いを目指したつもり。それを言い訳のように今日はここにちゃんと表現しておきたいと思う。
2階はこんな2部屋だった。
入り口の建具は既存の建具枠をそのまま利用して、建具屋さんに新規で建具を造ってもらった。
一つはもともと洋室だったため、建具の寸法は問題なかった。
しかし、今回既存サッシの断熱対策に内窓を施工したので建具の干渉が起こった。
おまけに、サッシは当然最終的にカーテンが来るため、取手の納まりを配慮しておかないといけない。
結果的に
室内側の建具の取手を室外の取手位置とはずらして造ってもらっている。これは造作建具だからできる事であって、また建具屋さんの対応能力でもある。
問題はもう一つ既存の和室だったお部屋の入り口は今まで「襖」だった。
これには建具の厚みを変えて対応している。
これも建具屋さんの力量である。既存枠を利用しても動きはどちらもスムーズでタテリも既存枠に合わせて造ってもらっているので綺麗な納まりになっている。
そして、既存の壁の傷と和室のテイストをそのまま残しているのをここでアピールしておく。
これは新築でも、新築同然に新しくしようとするリフォームとも違うと思っている。
この流れで階段室も紹介させてもらうと。
既存の素材がそのまま残されていることが、写真を並べると分かってもらえると信じて。
階段は既存のままで架け替えていない。
工期を少しでも早く済ませることが美学でもある時代に逆行するように、時間をかけて心を込めて手を加えさせて頂いた。
その心が職人にはすぐ伝わるようで。
最後の美装も職人ワザを「魅せて」くれている。
新しく大きく手を加えた空間はもちろん。
多く家に残っている「既存」の素材も古いサッシも、既存の水回り「トイレ」「洗面」「浴室」の古くこびりついた汚れさえも、このように対処してくれている。
こんな職人の心と手を時間をかけて加えて
このリノベーションは最終段階に入っている。
時間をかけて、心を込めて。
多くの職人の手によって。