(築約50年木造長屋の1室)工事中に発覚した既存不具合。

ある一つのプロジェクト。天井解体して二階の床のしなりが気になり、調査してみるとまさかの最悪の事態。梁が折れていた。強度的に梁成が足りていないのが一見して認識できた。そして、木組みもそうならざるをえなくなった理由もなんとなく理解はできた。この容姿のまま無理やり補強しようとすれば、それは補強にはならない。

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でも、大丈夫。

これはここから新しい物語をはじめる一つのきっかけとも思えた。

クライアント様にすぐ報告すると、クライアント様もしっかり同じ方向を向いて下さる。これは「ある程度クライアント様の価値観に周波数を合わせることができた」という信頼関係であるとも思っている。

現時点で、まだはっきり具体的造作案は決まってはいないが、「新築、リフォームではまず存在させない思いもよらぬモノを堂々とそこに存在させてみようと思っている。」

これがこの空間で新しいコトを生むキッカケになるようなモノを。

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それはそのモノ自体に意味があり、無くてはならないモノであり、でもそれは決して狙って出来るモノではない不便な個性を持つ存在。

空間を“デザイン”する為に小手先だけのつじつま合わせなど絶対にしない。

むしろ、狙って“デザインをつくる”ようなプランではこのような選択など絶対にできない。

堂々と真正面からその「既存不具合」を表現してみたい。

途中このような既存不具合が発覚したから、かえってこんなに面白い唯一無二の空間が出来上がったのだと言われるようなモノを。

リノベーションは人生と同じだなと最近思う。

思いもよらぬ問題を嘆くより、それをいかにプラスに変えてやろうかと考える方が愉しい。

楽しいだけの人生はまず望めない。目の前の事象をどう捉えるかだ。と、精神的に弱い自分に言い聞かせる。

人生の困難が人間の厚み、深みとなるように、古い家リノベーションの現場における不都合な既存不具合がこの空間の深みを増してくれるように創造したい。

一人でやるのではない。

クライアント様とやりながら考える壮大な物語だ。

リノベーションを依頼してくださるクライアント様はどなたも人生をかけている。

だから、依頼を請けて携わる僕たちもそれだけの覚悟を持っている。