「使い捨ての消耗品にさせない為に、安価な素材で勝負する」
一度聞いただけでは、疑問しか残らないような文章。
その意味は
「価値を衰退させない」という想いで書いています。
安価な素材で勝負するということは
仕上げ材で誤魔化しが効かない分、
「意味や価値や想い」のようなものをストレートに伝えてくれると思っています。
また、素材で誤魔化せないということは
職人の技術やセンスがそのまま伝わります。
そこにモノづくりの本質があると思っています。
自分も大切なモノを見失わないように
安価な素材で勝負する前提で機能を考え、作り方を考えカタチにして職人さんに伝えます。
そして、一番大切な「使い捨ての消耗品にさせない為に・・・・」という言葉の意味は
「価値の衰退」という視点で考えています。
いくら高価な素材で、職人の高い技術でつくりあげたとしても、長持ちできる時代でもないと感じてしまっています。使ってもらう人に「そのものに見出す価値」が無くなれば、消耗されてしまう時代だと感じています。
長持ちできる耐久性は勿論、それ以上に大切なのは
使い手自ら新しい使い方を自由に発見でき、自由に更新できる、“自ら手を加えるという”ある種のゆるい余白を内包していることが大切ではないかと考えるようになりました。
発見的に使い込み暮らせる住居づくり。
安価な素材で勝負するということは「価値を衰退させる」ことなく、
使い手自ら使いながら新しい価値を見出し育める懐の深さを宿すことができるのではないか。
使い捨ての消耗品が多く飛び交う時代に少しでも抗ってみようかなという挑戦。
その時の気分で自ら塗装するのもよし。
気軽にビスや釘や画鋲を突き刺して使うのもよし。
あらかじめ想定された使い方だけではなく、
モノを、空間を使う人が「徐々に使いこなして行く」という発想も必要なのではないかと思いながら。
価値が無くなっていくのではなく、「価値を発見し続け、育んでいける」という意味が大切だと思いながらのモノづくり、住居づくり。そんなリノベーションができれば。と、一つ一つの行為が挑戦。