「表現は悪いけど・・・・お金を出してしまえば簡単に早く済ませることができるだろうし、その方が綺麗にできるのは分かっている。でも、そうじゃないんだ・・・・。」
そんなニュアンスの言葉を貰った。
ずっと住んで育った家。持ち家でも近い将来ここを出るかもしれない。
傷み具合で本人が気になっている所は他にもある。
今回のクライアント様は自分自身も職人だから、それは気になるだろう。
でも、その近い将来が目の前にあるのなら、そこまでは保つからお金はかけない方がよい。
相談を受けながら、一緒に作業をしながら、話し合う中で数千円でもお金はかけないことを提案している。それを口にしながら「本当にそれが良いことなのか」は自分でも分からなくなることの方が多い。でも、自分ならそうすると思うから。
一緒に作業をしながら、
「これ大工さんに頼めばバッチリ綺麗になるんだけど、これが限界。ごめんね。」
20年以上昔からの知り合いで、一緒にリノベチームとしてうちの現場に入ってくれている仲間だからこんな会話もする。
そう言った後、冒頭に書いた言葉が返ってきた。
誰と共に紡いだ物語か。それが大切なんだ。そういうニュアンスが返ってくると、何か大切なモノをこっちが貰った気がする。
少し前にある職人さんから聞いた昔の話を思い出した。
「昔はお金がなくても、車は買えなくても、家は建てられた。近所の人たちで一緒になって作っていたから。」