まずは暮らしありき。

昔、会社勤めだった時は昼夜、休日問わず仕事に追われていました。

自分は人の暮らす家をつくっているのに、自分は忙しすぎて自分の家での暮らしをつくれていない。自分の家を建ててもそれは変わらず、寝に帰るだけ。これでは何年この仕事を経験して仕事上の知識は増えても本質的なモノを掴めていなかった。最近では冷静にそれを口にすることができるようになりました。

今年になって「まずは自分の住居での暮らしありき。」そう思い自分の設計した家を感じながら自分の住居での暮らしを意識してみました。

住居として居座り、周りの音、匂い、光を感じる。仕事としてではなく、住人として家時間を純粋に愉しむことを優先させる。

変わりゆく時間での光の入り方。この季節にこの時間になると強い光が入る。するとこのスペースが今まで感じたことのない空間に一瞬輝く。

同じように変わりゆく時間での風の抜け方も感じる。

そんな暮らしをじっくり感じてみる。

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この季節は植物をここにおいてみよう。

庭の雑草はどれくらいで伸びるのか。自分で小さく時を紡いでお手入れしていると、その種類の変化にまで目がいく。山や川の環境、四季のうつりかわり。季節の行事など。ちょっとずつ色々なものが繋がっていく。

すると仕事でも変化が出ました。

今は自宅をアトリエとしても使っているので、業者さんやクライアント様を自宅に招いてお仕事させて頂くことも増えました。お仕事として人を招く時も「人を迎え入れる準備を整える」という意識が今まで以上に高まりました。この季節、この時間でこの住居でできる一番素敵なおもてなし方法が自然に体に染み付いた感じです。設計に大切なものが「寸法感覚」だとしたら、住居屋として大切な「居住感覚」「暮らしの中の感覚」とでも言えるものでしょうか。

仕事の質としての時間配分も変わりました。

リノベーション、改修は短期間でもクライアント様の暮らしに寄り添いながら工事をさせて頂きます。打ち合わせでは見ることのできない日常のちょっとしたことを聞いたり、見たり。僕は良くも悪くも会社勤めの時の経験から、住居屋としての理想を実現する為に自分一人で設計し施工管理し、そして工事を重ねず請け負うように心がけているので濃密な寄り添い方になります。自分の住居での暮らしを整えていくとクライアント様の暮らしの中の労力を計り知るようになりました。

工期の無理がなければ「ついで作業」で、在るものでつくりながら考えるものでよければ

時間を気にせず心にゆとりを持ってつくる時間があれば。

廃材として捨てるより喜ばれるものになれば。

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そんな暮らしに寄り添える改修・リノベーションを継続していける環境をつくることが大切。

まずは暮らしありき。

自分が安らぐ環境を力と愛情を注いで整えることで、仕事や様々な関係もうまく回り出す。

自分にとってもまず暮らしありき。

クライアント様のことを考える時も「スタイルやデザインよりその方が考える理想の暮らし」ありき。

最近思っていることです。