(竣工1980年代)使い込むほどに美しくなる壁

汚れ、キズ、割れが美しい風合いになる壁です。

自分で部分補修や塗り替えもでき、自ら手を加える暮らしも日常化してくれます。

人の手で暮らしに寄り添う美しさが出せる壁です。

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リノベーション竣工時が「一番美しい」時期でよいのであれば、安価なクロスで十分かもしれません。

しかし、大切なのは暮らしはじめてからです。

この塗装壁が美しい時期を迎えるのは、時をつむいだ数年後です。時をつむぐほどに美しさを増していきます。

キズがついて補修ができないのであればボロになり「価値が下がる」ばかりかもしれません。そして、徐々に愛着も薄れていく要因になるかもしれません。クロスも高価な漆喰や珪藻土などの左官塗り壁も、残念ながら補修すればその部位だけ目立ってしまいます。さらに、綺麗になおそうと思うと「職人に頼まないといけない」ということになります。「わざわざお金を払って頼んでまでなおさない」「暮らしながら自分で手をつけられない悲しさ」などの要因から、「キズをつけたらそのまま」、よいアジになる前に「愛着が薄れる」という、かなしい負の連鎖が発生します。

その「負の連鎖」がどんどん価値を下げる勢いを強めてしまっているように感じていました。それが個人的に嫌で、私はこの塗装壁をオススメさせて頂いています。自分でも容易に、そして気軽に補修できるのであれば暮らしもたのしくなります。キズや汚れにも寛容になり、さらにキズや汚れも魅力として時をつむいでくれる風合いも持ち合わせています。無意識に暮らしていても数年後に突然、魅力を発見させてくれることもあります。これが暮らしをつむいでいる住居に愛着を増してくれる「正の連鎖」を生み、ある時から「時つむぎの暮らしの魅力」に目覚め、今ある住居の価値を上げる勢いをつけてくれると感じています。

これが、成分「粘土」の水性塗料「クレイペイント」です。(今回使用のカラーは「オフホワイト」です。下地は築約30年の既存クロスの上に施工しています。)

クレイペイント塗装工事価格は、一般的に安価と言われているクロス工事費の約1.5倍、そして、漆喰左官塗り壁工事費の約7割で実現できます。

その価格差以上に美しさの差が出てくるのが暮らしはじめてからです。

キズ、汚れを気にせず使い込んで頂いて、時をつむいで、古く美しい姿を見ることができる住居に馴染んでくれます。

あまり性能の話をするのは好きではありませんが、「築約30年の既存クロスの上にクレイペイント仕上げ・塗装仕上げ五日後」に霧吹きで吸放湿性を実際に行ってみると数分でこの乾き具合です。

この「吸放湿性」に加え、「脱臭効果」があり、古い家の問題解決だけでなく、心地よいやわらかな空間をつくってくれます。

ただし、この塗装工事を続けて一番大切なことを毎回口にしています。

このドイツ生まれの自然素材、粘土成分のクレイペイントは「自然素材」故に、多種多様に条件の異なる古い家では様々な変化、反応をみせてくれます。これが本当の自然素材だとも思います。これを塗り続け、向き合い続けてくれる職人がいてくれるから、やさしい心で時間と手間をかけて施工してくれる職人がいてくれるから、美しい壁ができあがるのだとクライアント様に自信を持ってお伝えしています。

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