(竣工1970年代)誂え抜く物語〜今あるモノを生かしきるには〜

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新しいリノベーションの工事に着手させて頂きました。

“あらためて「月と雨 建築舎のリノベーション」とは”

月と雨 建築舎では「リノベーション」を「その住居に暮らす方と“今あるモノを生かし、新しい価値観を想像する”こと」と定義させて頂いています。

“今あるモノを生かしきるには”

今あるモノを生かしきるには、プランありきの空間づくりだけでは実現できないと考えています。

古いモノの個体差を大切にしながら素材と向き合うことにこそ、大切なプロセスがあると考えています。

自ら解体してみることによって、「この住居の年代を超えた“つくり”の詳細背景」を感じ取ることができます。「リフォーム履歴」がわかります。「(住居の健康)弱っている部位」がよくわかります。

そして、一番大切なことがあります。

解体をする作業時間に、その住居の時間の流れ、光の入り方、風の通り方、地域性、そのような多くの情報をこの実際の空間で感じることができます。

この時間がこれからこの住居の暮らしをつくる上でとても大切な感覚・情報になります。

勿論、そこから建築段階には更に重要なプロセスがあります。実は、リノベーションの現場は泥臭く埃っぽいものです。

それでも、と言うよりだからこそ、重視するのは柔軟でオープンな建築プロセスだと思っています。

クライアント様と共に現場で考えるというプロセスが大切になります。

そして、リノベーションの現場は刻一刻と変わります。その為、必ず月と雨 建築舎は建築プロセス全般に関わり、限られた予算の中で「簡素でありながらも美しい、クライアント様好みの美しさ」に仕上げることに集中していきます。

リノベーションで一番重要な現場監理を重視しながら、その古い家の現場にある魅力を美しく残すことを考える建築士でありたいと考えています。「新品に取り替えなくても、材料に高いお金をかけなくても、完成を急がず、手間をかけ心を込めて創ることができれば、たとえそれが素人のDIYであっても人の心を奪える」と信じています。

大切にしているのは創意工夫のある手づくり感です。

“現場の状況が制約を生むなら、その制約をのめば良い”

リノベーションに取り組む上で、物事に「こうでないといけない」という固定概念を持たないように心がけています。何事にも変化はつきものですし、ましてや古い家のリノベーション現場となれば、何が起こってもおかしくありません。その事をわきまえて変化に適応していけば良いと考えています。

状況が制約を生むなら、その制約をのめば良い。それができないと「その住居に暮らす方と今あるモノを生かし、新しい価値観を創造すること」は不可能だと思います。

ディテールに流動性を持たせ、工事と連動させる。これは現場経験のある者にしか身に付かない感覚だと思っています。ただし、そこで大切なものを見失わないようにしないといけないから大変なのです。

“暮らしの空間に表現力と物語性を”

今あるモノを生かして、余分を抜いていく。空間にとって美は必要不可欠。まして日常の空間は美しくなければ価値がありません。暮らしの空間に美と説得力さえあれば、そこには自ずと表現力と物語性も備わることを今まで携わってきた住居が教えてくれました。

状況を受け入れ制約をのむ時に大切なこと、それは「クライアント様にとっての大切なモノやコトは何か」そして「日常空間の美しさ」それら二つは見失わないようにすること。

そんな気持ちを常に持ち、この素敵な「美しい翳り」を見せてくれた古いお家と数ヶ月間向き合い続けていきたいと思っています。