(竣工1970年代)残りものリノベ「ここまでの仕事されていたら、自分も」

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「関わる人が面白がる環境をつくることもクライアント様の為」

クライアント様の家づくり。

それは、クライアント様に喜んで頂くだけで良いというものではないと思います。

大切なのはつくり手の職人さんも面白がることができること。

それが「クライアント様の幸せな生活」の為に必要だと感じています。

そんなことは二の次だと言われてしまうことが現代かもしれませんが、つくり手が「誰の為に」つくっているのか見失うような現場ではいけないと思います。

ずっと現場に携わってきて、時代の流れに抗うように試行錯誤してきました。現実は職人さんへどこよりも高い単価で、技術を発揮できる面白い、難しい現場を用意すれば「この建物は俺がつくった」と自身が誇れるような時代でもなくなってきました。

そこには様々な要因が複雑に絡み合っています。廃棄を極力無くした組み立てるだけの既製品。プレカットの精度の良さ。効率重視で手間を極力省いた無駄のない現場。それを実現することで、職人単価が下がってしまいますが、その分手間もなくなり、難しい問題や技術に悩まされることなく、ヒューマンエラーも防げて工期短縮を可能にした現場が現代にはあります。それは決して悪いことではなく、正しい思考であり、大切なことでもあります。

しかし、そんな世の中でも自分の現場では、なんとか「つくり手の面白さを引き出すこと」ができないかと何年経っても試行錯誤を続けています。

高い技術の職人さんにうちの現場で面白がって、この家と向き合ってもらう事。それが僕の現場での使命の一つです。

「言われた事だけをやればいい」と感情をとめてしまう悲しい現場より、職人さんと意見を交わし、アイデアを引き出してもらい、挑戦してもらう事。それを面白がってもらう事。

それが間違っても職人さんのただの言いなりになって、楽してしまう現場にならない絶妙のバランスを保ちながら。

それができれば、必ずクライアント様に感動までしていただける出来栄えになります。細部が違ってくるのです。

「その出来栄えが、次の職人に無言のうちに引き継がれます」

「ここまでの仕事をされているなら、自分たちも」と。

僕もその人たちにも同じようにこの現場の作業を面白がってもらうことを大切に継続しながら。

そして、それができるチームを何年もかけてつくってきました。大切なのは人の心です。優しいだけ、馴れ合いでは継続できません。だから、連携も取れるのだと思います。

「幸せな現場とは」

ここにどのような生活があるのだろう。

ここはどのように使われるのだろう。

これでしっかり愛してもらえるだろう。

そんな会話が作業中に出るということが、しあわせな現場です。

誰の為につくっているか。

つくった人が面白がってつくってくれている。

それは、必ず良い空気で生活に馴染んでくれます。

これが、クライアント様の「しあわせな生活」の大切な要素だと信じています。