(竣工1970年代)手紡ぎリノベ〜スクラップリメイク〜

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古い畳下という万能スクラップ材

古い家の畳の下にはこの様な「畳下」という板が敷いてあります。

特別珍しい材料ではなく、素材としても高級なものでもありません。製材屋さんにも普通に流通しているので今でも新品が手に入る材料です。

この畳下は「12ミリ〜15ミリという薄さ」「150㎜前後の幅」「長さ2M前後」という条件でDIYには最適の万能材料です。

これは自分でDIYするから気づく感覚らしいのですが、解体する時に「何か使えそうな材料はないかな?」という感覚で古い家を見て材料を生け捕るように解体していきます。

スクラップリメイクはスローライフ

スクラップ材を「何か」に生かそうとすると、効率重視の現代の時間の流れでは「無駄」というしかない作業を重ねていきます。

まず解体する時は、傷めないように丁寧にバラしていきます。それは作る作業の逆再生をするように。

作る作業、構造を正しく知っていないと、さらに無駄な力を使うようになります。

そこから、バラした材料に残る釘を一本一本丁寧に抜いていきます。枚数がある場合は、まさに日が暮れる作業です。

ちなみに、通常解体の切り刻んで解体していく所用時間は、20分程度あれば片付いてしまうかもしれません。

釘を綺麗に抜き、少し綺麗にした材料は山積みにしておくのですが、またこれも現場では邪魔になります。「いつまでも片付かない材料」としてレッテルを貼られてしまいます。事実、その他廃材を処分してもこの材料の山は残るわけで、作業に従って「あっちへ交わし、こっちへ交わし」となる訳です。

現場の職人にこれを負担させてしまうと本業の足を引っ張ってしまうばかりか、ストレスの元なので、これは自分自身で責任を取らないといけません。

このようなことは他の工務店の現場では許されないことです。僕自身が責任とって作業しているから許されるだけです。

このような過程を積み上げているスクラップリメイク作業は、まさに「スローライフ」として捉えていないと無駄であり、周りと自分自身のストレスの要因になりかねません。

これは20年前にイタリアで始まったスローフードの価値観に似ています。大切なのはスローダウンすることです。(これもクライアント様とD.I.Oする連携が取れているから認められる現場の価値観かもしれません)

労力は二の次です。もちろん、この使い込まれた時間をため込んだ材料自体に価値があるのですが、同時にこの無駄と思える労力さえも、リメイクするまでに材料にため込まれています。

毎日使う“道具”となる壁へリメイク

毎回材料の状態を見て判断するのですが、今回も玄関のシューズ棚のアクセント壁にリメイク。

「素地」のまま誂えたら、このようになります。

この風合いも良いのですが、玄関なので「木材」として生き返らせます。

その為の手法が、そう「塗装」です。

使い込まれ、角が落ち、釘穴の痕も残っているのでこのような時は、ラスティック加工はしません。そのまま塗装です。

磨きのかかっていない畳下は荒材。それを小綺麗にするとため込んだ時間を削り落としてしまうことになりかねないので、用途上問題ない場合は素地として利用。

塗料の「いろは」も吸い込み過ぎてしまうので、このような材料には拭き取り仕上げができません。

その代わり、塗り込むことで木目が浮き上がってきます。材料も長持ちします。

これで古いスクラップ材に、新しい命が吹き込まれました。

古い畳下は8畳分たっぷりあったので、クライアント様のサポートとして、

腰壁と建具取付用の骨組みに

こちらは、塗装するだけで良い風合いの「枯れ色」になってくれる、オリジナル調合して頂いたカラーに

塗装してくれた塗装職人のシノブくんも

「塗るのも大変だったけど、塗ると違うね。」

「全く別の材料になった。」

と口にしてくれていました。

所々に釘穴痕をあえて残るように施工しているので、造作に感覚的奥行きを滲み出してくれています。

家具に誂える

そして、ここから家具として誂えていきます。

今回はクライアント様とのハーフビルドだったので、クライアント様が後で手に入れやすい近所のホームセンター材の「ガチャ柱」を取付。

このガチャ柱は水平と垂直を丁寧に抑えることが使いやすさのポイントになるので慎重に作業。

後からクライアント様が「日常生活の道具」として、自分好みにアレンジしやすい余白を残しておくことが大切。

もともとこの空間にあった既存照明がレトロで可愛らしく、今では見ることもなくなった風合いだったので、それを取り付けると・・・・

レトロモダニズムの空間に命を吹き込んでくれました。