JUNK WORKS 020-1

旧い家を生かすには、残すものを生かすには、その答えは毎回同じではありません。

何を残すか、なぜ残すか、クライアント様の好みなども違うから。

今回のクライアント様

2018年の豪雨災害で被災されたクライアント様。

一度は建て替えを前提に検討されるも、現在の新しい家の質感にどうもピンとこなかったとのこと。今住まわれている戦前の古い家の方が魅力的だったということから改修することにシフトされるも、どこに頼めばいいか悩んで一年後に月と雨にお問い合わせ頂きました。

お問い合わせのきっかけは息子様が月と雨のインスタを以前に見つけて下さっており、ご両親に紹介頂いた流れからだそうです。

お家を拝見させて頂くと、まぁ〜なんとも素敵に旧い家を暮しこなされていらっしゃる!と、個人的な好みでちょいと興奮してしまいました。

手を加えなくても素敵な空間で、逆に手を加えない方が良いのではないかと思うほど。

ただ、被災の爪痕は残っており、まずはその箇所だけでもと手を加えさせて頂きました。

お好みのディテールに

まずは雨漏りを早急に。

ご主人様の応急処置で雨の被害は食い止められているというものの、屋根は解体して症状と被害を調べて段取りなどできないので事前段取りが整ったら、解体から一気にルーフィングまではいかないといけません。

その際、短期間だから、あまり手をかけられないからと、「このようにしか直せません」という発想より、可能な限りクライアント様の好みのディテールを叶えてみたい。そう考えてしまいます。

残す家の構造に無理をすることなく、今ある形からできることを考える。それでも、生活しながらモチベーションの上がるディテールを実現していく。

それを実現させる為に、工夫を紡ぐ。

そんなリノベは挑戦する側も最高に面白いものです。

解体してみて、外部から想定したイメージより既存構造材は死んでおらず、強い材料が使われていたので無理に撤去せず、生かしていきました。

構造を補強し、減らせる手間を追求したデザインで、職人さんの知恵と技術もしっかり発揮して頂いて。

見た目を美しく仕上げるのは最低限のノルマ。構造が美しく納まれば、自然に美しくなってくれます。

図面で検討し、作業の流れをしっかり抑えて計画さえできれば、職人の造作手間を増やしてもトータルコストは抑えることはできます。

旧い家にも馴染ませる

災害は僕自身にも職人にもいろいろ考えさせられる物語を紡いでくれました。

そんな職人さんから今回は「そういうことなら」とこの家の構想に合いそうな素材を頂きました。新しい形の「残りものリノベ」になりました。

そして、現場でも。

師匠が、「どうにでもしてあげるよ。言ってみんさい。」

「さて、今日はどうしてやろうかの。」などと、うちの手間な現場を面白がってくれました。

「まあ、見ときんさい。」と、

わざわざ材料を現場加工して、「よい仕事」をしてくれました。

頼るということは大切です。

「どうにでもしてあげるよ」と、言ってくれる仲間がいないと残りものを、古い素敵なお家を生かしきれません。

まだまだ途中ですが、引き続きベストを尽させて頂きます。