Vision: 目指すべき理想の未来
[故い]と[新しい]が共存する風景
直しながら使い続けた先の美を残す。 「直してでも使い続けたい」と思える家を設計する。 住まう人の心の宿るものをつくることに心を尽くす。 その中で少し、未来を見据えた関係性を設計できればと。 今日も暮らしに風情を。
付喪神は妖怪か精霊か
百年経つと妖の心を持つとされ捨てられた九十九年目の物たち.
百年にあと一年足らぬと捨てられて恨む妖怪[九十九神].
物を大切にしないと化けて出ると教わった子供は,
その教えが心のどこかに残っている…
大切に使った物には精霊が宿ると信じている.
月と雨建築舎のこと
We add Japanese aesthetic sense to existing things.
<代表> SHINGO ANDO
尾道市生まれ
広島県立尾道北高等学校卒
広島工業大学環境学部環境デザイン学科卒
創建ホーム株式会社
営業課・施工管理課
オールハウス株式会社
施工管理課・建築事業部部長
リフォーム事業部
2015年 月と雨建築舎設立
<創業> 2015年2月
<建築士事務所登録>
広島県知事登録20(2)第2425号
<主な資格>
二級建築士 木造建築士 ホームインスペクター 住宅省エネルギー施工技術者 特例住宅リフォームカウンセラー 建築物石綿含有建材調査者
<所在地(事務所)>
広島市安芸区矢野東6丁目16-36-11
<メールアドレス>
junkstyle@tukitoame.com
月と雨の名前
「月」と「雨」
失敗を恐れず、なにものにもこだわらず、時には違和感のあるモノやコトを組み合わせる。ひとの感情を動かし続けるエネルギーを掘り起こす二物衝撃による「試行」の旗印
月と雨建築舎は「月を美しいと感じる心で雨を聴く」そんな感性で時間をかけて場と向き合い、時を重ねて風合いが増し、変化を面白がる生活を共に育む住居再生屋です。
「日常空間こそ、美しく」日本古来から存在する美意識の1つ「風情」を感じる心を大切に、故いモノを丁寧に直して永く使い続ける生活を共に育む美しいリノベーションを志しています。
新築工事とメンテナンスに携わり、家の価値が「ふるくなると価値が下がっていく」という考え方に寂しさを覚えました。新築の現場では職人と必死になって「長持ちするように、タメがいいように」考えながら職人の知恵と技術を活かして創ってきたのに。。。そんな寂しさです。
親から受け継いだ「ジャンクスタイル」というDIY精神
[Bricoleur]/ブリコルール/ありあわせの材料で器用に物をつくったり、作業したりする人/
時季をつむぎ、使い古したモノに価値を見出せないか?そう考えた時に自分の家族の姿を思い出しました。祖父、父のスタイル。それが今でいう「ジャンクスタイル」でした。
- 壊れたら直して使う。
- ないモノは創る。
- まだ何かの役に立つかもしれないと考える。
そのジャンクスタイルを月と雨の生活思想とし、自ら手を加えるという生活が住むほどに家を育て「愛着」を生み、その家の価値を高める要因の一つに必ずなると信じて、実践していきたいと思いました。
今あるものを生かす
「今あるものを生かし粋に誂えること」
クライアント様と時をつむいだ故いモノの美しさをまず生かすことを考えていきます。日本の家屋を「使い捨ての消耗品」にはしない為に今あるモノを見立て、感情が動く価値観に誂えることをライフワークとして住居の価値を変えていく挑戦をしています。
今あるモノを生かしきるには
今あるモノを生かしきるには、プランありきの空間づくりだけでは実現できません。故いモノの個体差を大切にしながら素材と向き合うことにこそ、大切なプロセスがあると考えています。
勿論、そこからの建築段階には更に重要なプロセスがあります。実はリノベーションの現場は泥臭く埃っぽいものです。それでも、と言うよりだからこそ、重視するのは柔軟でオープンな建築プロセスだと思っています。クライアント様と共に現場で考えるというプロセスが大切になります。
そしてリノベーションの現場は刻一刻と変わります。その為、必ず月と雨 建築舎は建築プロセス全般に関わり、限られた予算の中で「簡素でありながらも美しい、クライアント様好みの美しさ」に仕上げることに集中していきます。
リノベーションで一番重要な現場監理を重視しながら、その故い家の現場にある魅力を美しく残すことを考える建築士でありたい。「新品に取り替えなくても、材料に高いお金をかけなくても、完成を急がず、手間をかけ心を込めて創ることができれば、たとえそれが素人のDIYであっても人の心を奪える」と信じています。大切にしているのは創意工夫のある手づくり感です。
現場の状況が制約を生むなら、その制約をのめば良い
リノベーションに取り組む上で、物事に「こうでないといけない」という固定概念を持たないように心がけています。何事にも変化は付きものですし、まして改修やリノベーションの現場となれば、何が起こってもおかしくありません。その事をわきまえて変化に適応していけば良いと考えています。
状況が制約を生むなら、その制約をのめば良い。それができないと「その住居に暮らす方と今あるモノを生かし、新しい価値観を創造すること」は不可能だと思います。
ディテールに流動性を持たせ、工事と連動させる。これは現場経験のある者にしか身に付かない感覚だと思っています。ただし、そこで大切なものを見失わないようにしないといけないから大変なのです。
「故い家」が新しい家より魅力的と共感して頂ける方の為に
統計資料によれば「日本の滅失住宅の平均築後経過年数は30年(’98/’03調査)」というデータがあります。それに比べてアメリカは55年(’01/’05調査)、イギリスは77年(’96/’01調査)です。このデータで読み取れることは「日本の住宅は“寿命が短い”」というものではありません。
合わせて見る統計資料で「既存住宅流通シェアの国際比較(平成15年)」というデータもあります。それによれば日本の既存流通シェアはわずか13.1%でした。アメリカは77.6%、イギリスは88.8%、フランスは66.4%でした。
このことから分かることは「日本は中古住宅の流通が活発ではない」ということが一つの要因だということです。しかし、これでは日本には「時間をつむいで魅力が出てきた住居」を生み出せないということになります。時間をつむいだ深みの魅力は新しいものでは出せない魅力です。
高度成長以前には、日本にもDIYが当たり前の生活がありました
故いものを大切にしているヨーロッパでは一般的に100年以上の古いものを「アンティーク」それよりも新しい物を「ブロカント」と呼んでいます。そして、ある年代の限られた逸品を示す「ヴィンテージ」という言葉があります。
この故いものを称する言葉で日本の住宅事情を考えるとアンティーク・ブロカントと呼べる年代ものはごくわずか。しかし、ヴィンテージという言葉にはまだ可能性があると思います。日本にも高度経済成長を迎える前までは住む人が自宅を手入れしながら住む文化、今でいうDIYの文化は当たり前の暮らしがありました。住む人が手を加え、時季をつむぎながら独特の変化をとげている。それはどれも一品モノで唯一無二の個性。それは逸品となる素質を秘めています。ある年代の限られた逸品だけではなく、「住む人が手を加えながら時をつむいできた(DIY)住居」もヴィンテージに成り得ると考えています。
今ある価値観を変え、魅力あるヴィンテージ住宅市場に
例えば車なら日本でも“ヴィンテージ市場”が確立されています。メリットもリスクも売り手と買い手との間に共通の理解があります。住居に対してもこのような“ヴィンテージ”という価値観を確立することができればと想い「故い家をなおしてでも住み継ぎたいと思えるように」丁寧に故い家と向き合い正しくなおし、故い家と向き合い続ける高い技術の向上を常に意識するように「故い家を専門的に」取り組む工務店として“旧い家専門”と称させて頂きました。
古物市などでは、我先にと行くより本質的なたのしみ方があると言います。「期間最終日の閉店間際に行く」誰の目にも止まらなかった、誰も興味のないものこそお宝だということ。誰も知らなかった美しさを発見できる可能性を秘めています。
素敵なモノを探し回るより、使い込まれて素敵な風合いに育つモノをつくることが私の理想です。
大切なのはリノベ予算「300〜600万円以内」を目標としたリノベーション
故い家を面白くするには住み手のDIYのスキルと家を護る高い職人技術が必要だと考えています。「改修における職人技術と職人の心の向上」を目的にした予算組みを取り入れた上で、大規模リノベにおいてもまず予算を「300〜600万円以内」に目標設定し、「小さなリノベーション」を計画します。
故い家には住み手が自ら手を加えられる「隙」があります。その隙が住み手をクリエイターに育んでくれるのです。それは自ら手を加えるという面白い生活です。誰もがクリエイターになれる住居がここにあります。これも時季つむぎです。日常の中に一瞬でモチベーションを上げてくれる“忘れていた生活の面白さ”があります。
ふるくなったから「不要」となることは、とてもかなしいことです。新しいモノに更新するだけでは、時がつむがれたモノがなくなってしまいます。創り手が良いものをつくるから古くなって価値が出るだけではなく、そこに使い手も加わってこそ真に価値が出ると思っています。価値は自分でつくることができます。時季つむぎは時間という価値も手に入れることができます。
手間暇かけてうたうようにゆっくりと
手間ひまかけてうたうようにゆっくりと今をたのしむ知恵をつむいだ「時季つむぎ」をあなたに。
時季つむぎの住居にとって大切な、静寂や追憶のある空間をあなたに。