
月と雨スタート当初、古材風の加工を色々試していました。
試してみることで感じたことは
必死になって「偽物」を作っているような感覚を覚え、哀しくなりました。
加工、エイジング技術が未熟というより
その行為自体、自分が受け付けていないようで
リノベで最初からエイジングをかけるのは自分の心には合わないと答えを出しました。
そして、「本物の商品化された(されるような)古材」を使いというのもどこか違う。
大工さんが使い込んで古びた道具のような魅力は出せない。
本当に使い込んだ素材には勝てない。
そんな素材を作りたいのではなく、そんな素材になるように使い倒して欲しい。
それが自分の心だと。
また、もう一つどうしても気にかかることがありました。
解体で取り除いた「木材としての価値も高くはない、以前の間取りで加工された柱」の存在。
加工された柱だから「欠ぎ」「貫跡」があり強度も減衰しており使えないから捨てる。
木材としての価値もそれほどないから保管しておいても仕方がない。
だから捨てる。というのも違和感がありました。
しかし、
これのリメイク、リサイクルのアイデアが浮かばず、泣く泣く廃棄しておりました。
「木材」としての役割を終えたとしても「素材」としてはこの「欠ぎ」「貫跡」なども見ていて魅力的に見えます。
「元柱」として別の命を与えてみる。
以前の間取りで使われていた柱に新しい命を吹き込むとかいうとってつけた理由、慈善的なリメイクなどではなく、
ただ単純に「面白い見た目の素材」として。
そして、それが主役などではなく、これがあくまでも「ここに住む人に書き込んでもらう」余白として。
加工された柱は見たことあっても、恐らく日常的にこんな加工を目にする人は、この業界の関係者、職人以外少ないだろうから。
そんな「見た目に面白い素材」になるように少し手を加え、住む人がちょっとアレンジ、季節の飾りつけなどすると、映えるようなバックボードとして新しい命を吹き込んでみるのはどうだろうかとふと思いつきました。
これはあくまで提案前の妄想段階。
そのバランス感覚は企業秘密。
バランス感覚こそ命。
日本の文化である床の間、そこに季節の掛け軸を飾る素敵な行為・その感性を忘れないように。
その「行為と感性」を受け継ぐような余白というラインを空間に差し込みたい。
このような発想になれたのも、ここのクライアント様に面白がってもらえそうなアイデアを探している延長で生まれた発想。
なんとなく「ここに住むクライアント様なら生かしてもらえそう」な気がしたから。
廃棄スペースにあった柱を何気にまた現場に持って入り、試作をつくってみたところから。
カッコつけた理由はいつも後付け。
クライアント様のお陰、出会いのお陰の副産物。
直し誂る「住みながらリノベ」の 月と雨建築舎
月と雨建築舎は、施工管理技術で「直し誂る」
住宅の悩み相談を引き受け続けた現場監督が企画した「部分リノベ特化」の改修舎
HMのように既製品から考えることはしない。
デザイン工務店ほと素材や納まりに拘り過ぎない。
丁度いい塩梅のものづくり。
職人でもなく、住宅の悩み相談、メンテも受け続けた現場監督が企画した施工デザイン・施工計画。
HM現場管理よりちょっとだけ手間と時間をかけたものづくり重視。
工事中の生活への影響少ない「施工計画」
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