自己を語る言葉がないということは……

寂リノベ

2022年の梅雨、矢野峠では4年前の豪雨災害の復旧工事が同時に複数進行しているようです。被災当初は仮復旧のこの峠の道は「雨が降ると怖くて通れない」などと口にしていましたが、そんな記憶も薄れ「仮復旧」であることに慣れてしまっていたようです。

さて気づけば2022年も折り返しの時期になっていました。前半は「民藝」と出会い、その世界を調べ、柚木沙弥郎さんの作品に沢山刺激を頂きました。次から次へと本を読み、何か色々今まで考えていたことが繋がり始め、「模様」という概念から「60年代のモダニズム」に繋がったことでまた一周回って日本文化の本質に戻ってきました。そして、やはりそうなると7年前から保留にしているこの言葉を追究することを再開しないと始まりません。

「日本的なるものとはなにか?」

「自己を語る言葉がないというのは、思想がないことである。」

日本的なるものとはなにか。

グロピウスが桂の素晴らしさを口しにて

「そのすばらしさが何に由来しているか説明してほしい」と要求した。しかし、日本は彼を満足させる説明ができなかったというエピソード。

それに対して

1960年代に世界的な視野から日本美の特質にせまる建築論文が面白い。

現在使われている「余白」の捉え方が全く異なっている点・建築史上、日本人は本来「幾何学的空間」を好まなかったという史実・本質的なる単純化のことなど、読めば読むほど柚木沙弥郎さんの模様に対する言葉と重なるところもたくさん。そして「そうかやっぱり僕は日本人なんだ」と思うのです。北欧の文化・アメリカの文化・フランスの文化に憧れても心、感性がどうも無意識のところで日本的なる物差しがDNAに刻まれているのかもしれません。

なぜ自分は本質から学び研究したものだとしても表面的な雰囲気だけ創作した空間に反応が悪いのか、空間の「構築」に心引かれるのは何故か……

60年代の建築論文は今改めて読み返して面白い。だからここ最近の読書は60年代縛りで興味のある建築論文を読みあさる。

そして、すとんと腑に落ちたのが「行動的空間」という言葉。

次からのアウトプット、リノベ空間はより美しいものになるよう精進したいと思います。

寂リノベ

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