
人は歳を重ねるごとに色々なことを諦め、見切り、折り合いをつけながら生きていく。
哀しかったことも、苦しかったことも全てを口にしてしまわず胸一つに留めておく。
例えば、言葉を紡ぎ出す前のその少しの「間」には言いおおせないからこそ伝わる情感がある。
例えば、物を取り囲む「間」が、そこには居ない家族の姿を彷彿させる。
そんな「間」が表現する奥ゆかしさを残せるように「おさめがいい」間を取っていく。
月と雨にとって間を取るとは、パズルのように組み合わせるプランニングではなく、空間と空間の構成。その空間と空間の隙間やズレに生じる「たまり」のスペースこそが月と雨が大切にしたい「間」。空間の回遊性を重視しながらも大切になってくるのがこの「間」。
パズルのように組み合わせて考える部屋ではなく行動的空間に生まれるスペースにコーナーとして創り出される意識的空間。
見えるようで見えない、気配は感じる日本的なる意識空間。流れる空間の奥にあることで面積以上の拡がりを持ち合わせ、空間と空間、人と人を繋ぐ役目も担っているような場所が生み出されるように、間を取ることを意識して。