「古さは取り除くものではなく生かすもの」
古い家を骨組みだけ残して解体する「スケルトン」はコストもかかり、新しい価値を付け加えるというより、新築同然に安易にゼロから作り込まれた真新しいリフォーム空間にしか思えず、個人的にはあまり積極的に取り組んでおりません。
古さを魅力的に内包させるにはどうすればいいか、古さを魅力的に美しく生かすにはどうすればいいか、性能を改善させ手を加え過ぎないところを、いつもその目の前にある魅力的な古い空間と向き合ってクライアント様と決めている。そんなリノベーションをしています。
こちらのクライアント様との物語のテーマは「古さを残す。でもトイレはこのままでは嫌。」そんな感じからのスタートだったと思います。




「そのまま残すのではなく、要素を継承する」
昔の家でよく見かけた魅力的な木製ドアのある和式トイレ。
ただの「レトロ」なトイレとしても魅力があります。しかし、クライアント様のご要望はズバリこのままではありません。「機能」としては不足なのです。
必要最低限の機能は付け加えて、快適さを確保していきます。その上で「古かわいい」レトロな要素を継承して新しい機能と馴染ませていきます。
周りの壁・天井は既存状態のままです。そしてこの後も既存のまま。手法は白い塗装をしただけ。
「綺麗に白く塗装するコツ」





綺麗に仕上げるコツは・・・・
「何度も綺麗に塗り重ねる。」これに限ります。
そうして出来上がったトイレ空間が

こんな感じ。新築ではできない質感として古さを内包させた空間。白は使い込まれて、汚れ、タイル部の塗料は剥がれる事もある前提で計画しています。「使い込まれるほどに」「時が経つほどに」しっかり使い込まれた美しさとして育まれる空間。真新しい傷一つ無い空間に価値があるとすれば、傷つき、汚れたら価値が下がります。しかし、傷、汚れを良しとして、むしろ魅力として取り込む計画なら価値は下がることはない。

この古い木戸もその質感とスタイルを継承して


再生させています。